再案件化する可能性も?休眠顧客の掘り起こし方
休眠顧客はどのように管理していますか?
休眠顧客とは、過去にサービスに問い合わせを頂いたけれどもタイミングが合わずに申し込みまで至らなかったお客様や、一度購入頂いたけれども二度目の購入に至っていないお客様など、いわゆる「今すぐ客」では無くなってしまった方々のことを指します。
特にBtoB企業においては、受注に至るまでに、他社との入念な比較検討や社内(決裁者)の根回し、予算の確保などいろいろなプロセスが生じるため、「今すぐ客」がいつの間にか「休眠顧客」になってしまうなんてことは頻繁に起きてしまいます。
そんな「休眠顧客」は二度と「今すぐ客」にはならないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
「休眠顧客」と丁寧に接点を持ち続けることで、再び「今すぐ客」とすることが可能なのです。今回は休眠顧客の掘り起こし方について解説します。
営業とマーケターの役割分担を決める
一般的に休眠顧客の掘り起こしはマーケターの役割です。
休眠顧客をリスト化し、あの手この手で継続的に接点を持ち、休眠顧客の気持ちを再点火します。そして、再点火され検討意欲の高まった休眠顧客のリストは再び営業担当に戻し、そのあとは営業の役割となります。
この流れでバトンタッチがスムーズに行われることが本施策の成功の要です。
一方で、営業とマーケターとの間でコミュニケーションが十分に取れていないと、「顧客をマーケに取られた」だの「せっかく案件化したのに営業が動いてくれない」と言ったことになり、施策はうまくいきません。
まずはしっかりと両チームでコミュニケーションをとったうえで役割分担を行い、お互いが当事者となることが重要です。
休眠顧客の定義を決める
次に、休眠顧客の定義について、営業とマーケターの間とで共通の定義を決める必要があります。
例えば、マーケターにとっては営業がアプローチをしなくなった顧客はすべて休眠顧客と思えるかもしれませんが、営業にとっては一時的に優先順位を下げているだけかもしれません。
また、営業の机の中に眠っている展示会で集めた名刺の山も、マーケターとしてはアプローチしたい対象であったりします。
そのため、事前にどのような顧客を休眠顧客とするかという定義を決めておき、休眠顧客の取り扱いについてもお互いで共通の認識を持つことで、余計な衝突を起こさないようにします。
<休眠顧客の定義サンプル>
- 最終接触から3か月経過し、反応のない見込み顧客
- 他社サービスの導入が決まり失注となった顧客
- 展示会で名刺交換したが1か月以上電話での接触が出来ていない顧客
<休眠顧客の取り扱いサンプル>
- 上記定義に当てはまった顧客の担当はマーケティング部署に自動的に移管される(営業の許可は不要とする)
- マーケターは毎月1日に営業リストの棚卸を行う
このように定義と取り扱い方法を決めたら、マーケターは早速、定期的に営業の持つリストの棚卸しを行い、休眠顧客リストへの登録を行いましょう。
休眠顧客へのアプローチ
過去に失注した、もしくは検討意欲が下がってしまったのには何かしらの理由があります。
その当時はその理由によって購入に至らなかったのですが、今となってはその理由はすでに過去のものになっている可能性は大いにあります。
そのため休眠顧客へは継続的に情報を提供し、チャンスを逃さないことが大事です。
休眠顧客に提供する情報や、アプローチ方法としては以下のようなものがあります。
新商品・新機能をメルマガで案内する
過去に特定の機能が無かったことで失注してしまったという顧客に対しては、新商品や新機能を案内することが有効です。
すでに他社を利用していたとしても、使い勝手やコストなどに満足しておらず、更新タイミングでのリプレイスを考えているかもしれません。
そのタイミングを逃さないためにも、定期的に最新の情報をお知らせし、再度検討の土台に上げてもらうことが大事です。
セミナーや展示会をメルマガで案内する
過去に検討はしたけれども、社内の体制が整っていないなどの理由で検討意欲が落ちてしまったという顧客に対しては、セミナーや展示会などを案内することが有効です。
検討意欲が落ちてしまった当時より社内の状況は好転しているので、再度話は聞いてみたいけれども、営業と1対1で話をするほど緊急性はないというケースの顧客にとって、1対多数の場であるセミナーや展示会は、気軽に参加して話を聞くことの出来る良い機会です。
セミナーや展示会の時期が近付いてきたら、ぜひお知らせをしてみましょう。
自社だけが持つ情報を公開する
いつか導入するときのために情報収集が目的だった顧客で、そのまま検討がストップしてしまった顧客に対しては、自社だけが持つ有益な情報を惜しみなく公開することが有効です。
これら顧客は、まだ具体的なサービスを選定する前の段階であり、導入自体が必要かどうかを検討している状態です。
そのため、サービスを導入したことで業務が改善したというような事例や、業界の最新トレンドなどを案内し、サービスの必要性を再認識してもらいましょう。
また、自社でブログコンテンツを発信している場合は、記事を公開したタイミングでメルマガにて案内するのもいいでしょう。
ダイレクトメールを郵送する
紙のダイレクトメールを郵送するのも手段の一つとして有効です。
メルマガはほとんどチェックしないという人でも、手元に形として届く郵送のダイレクトメールならば見てくれるかもしれません。
1通あたり40円~50円と、あまり手軽にできる価格ではありませんが、形や大きさなども工夫できるので、場合によっては大きなインパクトを与えることも可能です。
当社でも何度かダイレクトメールの郵送を行っておりますが、反応率(問い合わせ数÷郵送数×100)は1%前後です。
メルマガよりCPA(顧客獲得単価)はだいぶ高くなってしまいますが、メルマガでは反応が無かった休眠顧客からの問い合わせにつながることもあるのでおすすめです。
効果測定
マーケターの休眠顧客への取り組みについては効果測定が行われる必要があります。
新規の見込み客を獲得するのに苦労しているケースならば、休眠顧客の掘り起こしにかかるコストは、目標として設定した上限CPAを下回っていれば問題ないでしょう。
一方、新規の見込み客がそれなりに取れているケースでは、休眠顧客の掘り起こしにかかるコストが、新規の見込み客を獲得するコストを下回っていなければ意味がありません。
掘り起こしをメルマガで実施する場合、発生するコストはメルマガ配信ツールの利用料と、メルマガを作成するのにかかる労務コストだけですので、1件の掘り起こしにかかる費用は新規顧客の獲得コストよりも大きく下回るはずです。
休眠顧客の掘り起こしにどれくらい力を入れて取り組むかを決定するためにも、きちんと効果測定を行うようにしましょう。
参考:正しい評価できてますか?メルマガの効果測定 | メールマーケティング アカデミー
まとめ:休眠顧客は再案件化する可能性のある顧客
休眠顧客は、過去のある時期においては有望な見込み客であった事実を考えると、再度アプローチをすることで再案件化する可能性が非常に高い顧客です。
1件あたりにかかるコストも非常に低く、新規顧客を獲得するコストの1割以下で獲得できたというケースも珍しくありません。
また、休眠顧客の掘り起こしは、リストとメール配信システムさえあればすぐにでも始めることができるのも大きな特徴です。
再案件化した顧客は、営業チームにとっても一度問い合わせをいただいているお客様なので、アプローチもしやすいはずです。
ぜひ、営業チームとコミュニケーションを取り、休眠顧客の掘り起こしにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。