メール配信の種別と効果的な使い方
メールの配信には、その目的によって適した手法というものが存在します。
自社の顧客リストに対してとりあえず一斉配信をしているだけでは、メールマーケティング本来の効果を得ることは難しいでしょう。
今回は、ケース別にそれぞれ適した配信方法について解説します。
一斉配信
「一斉配信」とは、顧客の所属や属性などによる分類がされていない顧客リストに対して、一斉に配信する方法です。
たとえば、休業日の案内やサービスの障害報告など、顧客への情報の告知を目的とする配信に適しています。
アナウンスの効果を最大化するためには、件名に告知したい内容を全て記載してしまうのが良いでしょう。
例)【重要】〇月〇日(○曜日)はお店はお休みです |
件名では伝えきれない内容のため本文もしっかり読んでもらいたいという場合は、件名に「顧客名」や「サービス名」などの個別情報を差し込むと開封していただける可能性が高まります。
例)【○○様】(サービス名)のメンテナンス情報です。必ずご覧ください |
1. グループ配信・セグメント配信
「グループ配信」・「セグメント配信」とは、顧客の所属や属性によって顧客リストを分類し、それぞれの特性を考慮した内容でメールの本文を作成し、配信する方法です。
メールマーケティングにおける最もスタンダードな配信方法です。
メールマーケティングの文脈において、「グループ」と「セグメント」は異なるものとして捉える(セグメントはグループの一部として捉える)考え方もありますが、実際の現場ではほぼ同じ意味で使用されているため、この記事ではまとめさせていただきます。
メールマーケティングで効果を最大化するには、“誰に送るのか”ということを明確にしなければいけません。
例えば、見込み顧客と既存顧客に対しては異なる内容のメールを送ることができている企業は多いと思いますが、「初回購入客とリピート購入客」「購入した商品のカテゴリー別」など、より細かな分類で内容を分けて送ることで更に高い効果を見込めます。
あまりに細かすぎると手間が膨大になり運用し続けることが困難になりますので、小さく始めるうちは「温度感の高い顧客」と「温度感の低い顧客」の2つに分けるくらいで十分でしょう。
ここでいう「温度感の高低」とは、目的を達成する可能性の高低のことです。
たとえば、メールマーケティングの最終目的がサービスの購入であった場合、最近資料を取り寄せた見込み顧客は、1年前に資料を取り寄せた見込み顧客よりも、当然サービスを購入する可能性は高くなります。
温度感の高い顧客は、いままさにどのサービスを導入しようか選定している時期ですので、自社のサービスの特徴や優位性、ベネフィットなどをメールに記載することで、購入を促します。
一方で、温度感の低い顧客は、すでに他社のサービスを導入していたり、そもそもの用途が無くなっていたりと検討意欲が低くなっている可能性が大いにありますので、直近でのアクションは期待できません。
ただし、すでに他社のサービスを導入している顧客でも、現在のサービスに何かしらの不満を抱えている可能性があります。そのため、更新時期が近付いたときに自社のサービスを思い出してもらえれば、再度検討してもらえる可能性も向上するでしょう。
そのため、温度感の低い顧客には、自社の持つノウハウや業界情報などを定期的にメールで送ることで、接点を保ち続けるのが大事です。
2. ステップメール
特定の日を起点として、シナリオに沿ったメールを個別配信する方法です。
例えば、顧客がサービスを購入した日を起点として、翌日にお礼を送り、さらに7日後には「困っていることはありませんか?」とヒアリングをするようなメールを送るなどと言った使い方が出来ます。
購入後のアフターフォロー以外にも、更新時期が近くなったことをお知らせして更新を促したり、在庫がなくなる時期を見計らってリピート購入を促したりするなんて使い方もできます。
また、BtoB業界では、上述した温度感の低い顧客向けの定期配信メールとして使われているケースも良くあります。
定期配信メールを作るときに重要なのは、「ステップ」という名が指す通り、徐々に目的達成に近づくようなシナリオを作成することです。
自社の持つノウハウやレポートと言った有益な情報を提供することで、徐々に信頼感を醸成していくなどといった工夫が必要です。
3. トリガーメール・トランザクションメール
顧客の行動をきっかけとしてメールを個別配信する方法です。会員登録時のお礼メールなどが該当します。
顧客自身のアクションが起点となっているため、顧客からの高い反応率が期待できます。
ネットショップなどで、買い物かごに商品を入れたけれど購入されなかった顧客向けに、後日「お買い忘れではありませんか?」といったメールを送るカゴ落ちメールなど、アクションを再検討させるようなケースに利用します。
ただし、実現をするためにはメール配信システムとアクションを起こす先のシステムとの連携が必要になります。
たとえば、ホームページ内の特定のページを閲覧したことを起点としてトリガーメールを送る場合、メール配信システムが持つ顧客情報とホームページ側のプログラムとを連携させなければいけません。
4. パーソナライズメール
顧客の行動履歴をもとにメールを個別配信する方法です。
過去の購入履歴をもとに同じカテゴリーや近しいカテゴリーに存在する別商品をお勧めすることで追加購入を促すレコメンドメールなどが該当します。
顧客1人ひとりの行動履歴をもとに個別の内容で配信するため、こちらも顧客からの高い反応率が期待できるでしょう。
これを実現するためには、メール配信システムと、顧客の行動履歴を管理しているCRMシステム(顧客との関係管理用のシステム)との連携が必要です。
まとめ:戦略的に手法を選び成果に繋がるメールを
今回紹介した配信手法は、後半に紹介したものほど効果が見込める手法となっていますが、比例して難易度も高くなっていきます。
トリガーメールやパーソナライズメールは、マーケティングオートメーション(MA)と呼ばれるツールが得意とするところではありますが、費用的にも導入工数的にも気軽に始められるものではありません。
まずはメール配信システムだけで実践できる「グループ配信」と「ステップメール」から始め、成果を着実に出していくようにしましょう。